海外現地採用という名の蟹工船 - ロバが旅にでたところで馬になって帰ってくるわけじゃねえ-

『海外でさらにステップアップ!』など、人材派遣会社の甘い勧誘に心がゆらいでませんか?

2013年07月

【日系企業の現地採用を止めたほうがいい3つの理由】

ここ1年間、日本の電力供給事情が改善されないこと、国内の市場が閉塞気味なことから海外への投資が増えています。ただ、投資の内容をみてみると、市場として見ている欧米と生産基地として見ている中米やアジアでは質が異なります。特に製造業が着目している次の中国としてのインドやベトナム、メキシコなどへの投資額が顕著に伸びています。それに比例してか、これらの地域での現地採用が活発化しています。

求人内容をみてみると、福利厚生の充実やビザサポート、将来幹部候補など殺し文句が並んでいます。しかしながら、下記の3つの理由から日系企業の現地採用はオススメしません。

  1. 将来性がゼロ
  2. 将来性がゼロの意味合いですが、将来給与のために転職しようとした時に難しくなるということです。いわゆる先進国では給与の二分化が進んでいますが、高給取りになっているのはスペシャリストです。
    しかし、現地採用に求められるのは、現地でのスペシャリストと駐在員との間のゼネラリストです。大切な時間を使ってゼネラリストとしての能力は伸びるかもしれませんが、その後欧米や日本に帰国した時に仕事を見つけるのが極めて困難になります。
    一番目も当てられないのは、ほとんど日本で就業経験がなく、留学後にそのまま現地採用で残ってしまうパターンです。この場合、日本の商習慣を学ぶ機会もなく、海外では見よう見まねで仕事ができるかもしれませんが、日本に戻っても絶望的な状況になるのは目に見えています。

  3. 時間の無駄
  4. 現地に残っていれば、言葉や文化、習慣への理解が深まると思う方がいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。朱に染まれば赤くなるではありませんが、駐在員みたいな人種と一緒にいると、引きづられてしまいます。言葉は使う必要性が低いとどうしてもやすきに流れてしまいます。
    また、現地の言葉がちゃんと使えないようであれば、現地の人との交流は深まりませんので、文化や習慣への理解が深まるはずもありません。特に、日系相手の取引が多い現地採用の場合、ヘタすると仕事の付き合いも全部日本人や日式になってしまいます。結果、数年いても現地の言葉もちゃんと話せない、現地に沿ったやり方で仕事を進めることもできないということで、時間の浪費になります。

  5. 精神衛生上非常に悪い
  6. これは何度も指摘しますが、駐在員の存在です。
    マーケとして見ている欧米と異なりコストカットのためのアジア地域にやってくる駐在員は、技術系のスペシャリストならともかく、それ以外の職種であればほぼゴミみたいな人材です。そんな人が日本とのダブルペイをもらった上で、至れり尽くせりな状態を脇目にして仕事に打ち込めるわけがありません。
【日系企業の現地採用を活用する場合の注意点】

上記の理由から、日系企業の現地採用はオススメしませんが、しかし、言語能力が足りないとか、どうしてもそこに残ってみたいという方もいるかもしれません。そんな方のために”現地企業”と”日系現地企業”で働いた経験から注意点を書きます。

  • キャリアプランを明確に
  • 現地の企業への採用や帰国などを考えて、長期のキャリアプランをしっかり立てる必要があります。そのために、何をしなくてはいけないのかを実践する場として活用しましょう。幸い現地採用の日本人は信用されやすい傾向があるので、思う存分日系企業のお金と権力を使ってTryしてみるべきです。大失敗しても、駐在員がやってる浪費に比べれば安いもんです。

  • 時間を区切る
  • 例えば1年以内に現地企業に転職するとか、3年以内に起業するなど明確なタイムラインを仕切るべきです。ダラダラとやってしまうと、企業にとってもあなたにとっても共依存状態になり双方お陀仏ということにもなりかねません。

  • 駐在員とは付き合わない
  • 必要最低限のみの付き合いにして、極力彼らとは付き合うべきではありません。現地での友達や信頼出来る人間関係の構築に務めるべきです。
最後に、ビジネスジャーナルで下記のような特集がありました。ご参考までに。

“駐在員の下僕”海外現地採用社員の実態〜コストカット要員、そのまま最下層へ…
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【生活は楽にならない】

売り込みをしたい営業マンが、甘い言葉で誘って、ハエトリ草にかかるがごとく爆死する若者は多いかと思うのですが、久しぶりにそういうのを具現化したような記事があったのでピックアップ。

「アジア現地採用」の待遇はどんなものか?

この記事で強調しているのは…
  • 現地物価が安いこと
  • 日本語サービスがあり不自由のない暮らし
  • 日々の生活で大きく困ることはない
  • 長期休暇を取って、年に1~2回里帰りしているという人がほとんど
  • 「アジアで働く日本人」という、比較的希少な存在

しかしながら、
  • 東南アジアの物価上昇率は10%近いので、日本に比べて安い状況は続かない
  • 海外における日本語サービスは外国人向けなので現地向けに比べるとはるかに高額
  • 日本への行き帰りが駐在員と異なり自腹になるので、薄給の現地採用だと年1くらいに抑えたい
  • 「アジアで働く日本人」は、帰ってからステータスにならない(金にならない)ので、比較的希少な存在
となります。

私のように好き好んでアジアへ行って遊んで帰ってくるならともかく、キャリアアップの一環としてアジアで働くというのは、自殺行為以外の何物でもありません。
製造業がアジア各地に進出するのは、コスト削減のためなので、そこで日本人を雇わなくちゃいけないのは、現地の駐在員がコントロールできない&混乱しているというケースになります。
また、日本を始めとする先進国では、技術や専門性の深さが求められます。誰でもできる(供給側が増える)場合は、価格競争となるためです。しかし、海外で求められるのはゼネラリストです。したがって、海外でこういうキャリアを積んだ場合でも、戻って仕事が見つかる可能性は低いとなります。

それでも、みなさんは海外へ自己責任で行きたいですか?
もしも、いつの日にか日本に戻って…と思うのであれば思いとどまって下さい。
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